文章修行

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『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』を読む 8月12日の日記

 昨日はかなり体調が悪く、日記は書かなかった。
 原因は何かと考えてみたのだけど、連日気温が35度くらいまで上がって猛暑がぶり返してきたので、それかもしれない。
 どうも35度に達すると翌日の体調が悪化するようだ。
 そこまで上がると寝る時も暑いので睡眠の質が落ち、それが体調不良を引き起こすのだろう。
 クーラーで調整はするものの、強すぎるとそれはそれで体調を崩すし、弱いと暑くて寝れないしで加減が難しい。
 暑さにも冷房にも弱い体質なので、この時期は過ごすのがなかなかしんどい。

 調子の悪い時に無理をしてもいいことはないので、昨日はだらだらしていた。
 本か漫画でも読もう、と思っていたところ、kindle unlimitedにいしいひさいちの『吉川ロカ ストーリーライブ』という漫画が入っていたので読んでみた。
 いしいひさいちは新聞に連載を持っている有名な四コマ漫画家なのだけど、この漫画は自費出版したのだそうだ。
 面白いとネットで評判になっていたので、以前から気になっていた。

 内容は、歌の才能だけはある女の子が、ストリートライブなどを通してだんだんと人気になっていき、プロへの道を進んでいく…という、設定的にはすごくありふれた話だ。
 この女の子は海難事故で両親を亡くしていて、同じく親を亡くした年上の少女と知り合って仲良くなる。
 このような境遇だったこともあり、年上の少女が歌のうまい女の子の精神的な支えとなっていく。
 しかし年上の少女の家は稼業の筋がよいものではなかったので、やがて有名になっていく歌のうまい女の子にとって、その存在がネックになる可能性が…。

 とこのように、筋立てだけ書いてしまうと取りたてて珍しいものではない。
 読んでいて、確かに面白いけどそんなに評判になるほどかな…と思っていたのだけど、ラストシーンがちょっとびっくりする内容で、なかなか衝撃を受けた。

 女の子が歌のうまさだけを武器に成功をつかんでいく、という夢物語ではあるのだけど、有名になるにつれて初期に支えてくれた人たちとのつながりが薄くなっていったり、途絶えていく展開はリアルなもので、そのあたりのさじ加減がこのフィクションを支えているのかな、と思ったりした。
 また絵柄の緩急が巧みで、普段はぼんやりした絵柄なのだけど、ライブで歌うところでは主人公がリアルな頭身になったりすることで、歌うことに関しては本物なのだ、という表現になっていた。

 四コマ漫画の達人がストーリーものを書くとこうなるのか、という観点から見ても面白い漫画だった。

 ラストでは色々なものが吹っ飛んでいるのだけど、その分だけこの2人はこの後どうなったのかな、と読者が想像する余地を大きく与えており、このあたりの作者のふっきれ具合がただものではない、と思わされるポイントだった。

 創作物にはこの作品のように、驚きをもたらすところがあると、強く印象を読者に与えて質を高めるところがあるのかもしれない。