以前読んでいたブログに、「人と違うことを言うのを意識している」と書かれていたことがあった。
人と違うことを言えば、自分の文章には個性と価値が出るから、というのがその理屈で、まあわからないでもないかな、とその時は思った。
しかしそのブログにはその後、だんだんと常識に欠けた変な記事が増えていき、ほとんど読まなくなった。
陰謀論めいた話や妄想みたいな記事が増えてしまったのだ。
おそらくは独自の見解を示して人と違うことを言おう、と意識しすぎるあまりに、考え方やものの見方が普通からだいぶずれていってしまったのだろう。
独自性には価値が生じることも多いけど、それはあくまでも最低限の常識をふまえて発揮されてこそ価値があるのであって、奇をてらうようになると、やがてまったく無価値なものへと変じてしまう。
文章は変にひねろうとすると、やがてそのひねり方が癖になって定着してしまい、おかしなことしか書けなくなってしまうのかもしれない。
文章は自分の心に浮かぶことを、率直に書いていくのが基本なのではないかと思う。
人の心の形はひとりひとり違うので、そうしていれば力まずとも、やがて自然と独自性が立ち上がってくるだろう。