文章修行

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新しくメガネを作った

 私は中学生くらいのころから目が悪く、ずっとメガネをかけている。
 コンタクトは一度もしたことがないので(目に直接レンズをつけるのがなんか怖い)、メガネひとすじ30年といったところである。
 長年メガネをかけていると、当然のことながら時々は買い替えることになる。
 少し前に、今まで使っていたメガネがだいぶぼろくなってきたので、いい加減に買い替えることにした。
 見え方には問題がないのだけど、表面のコーティングがはがれてきたし、フレームもよく見るとけっこう傷がついている。
 たぶん5年くらいは使ってるしそろそろ変えどきか、となったのだ。

 調べてみたら歩いて15分くらいのところにチェーンのメガネ屋があったので、そこで作ることにした。
 作った後でもう一度取りに行くことになるので、近いにこしたことはない。
 メガネ作りたいんですが、とお店で話すとそんなに人がいなかったこともあって、すぐに視力検査などが始まる。(場所にもよるのだろうけど、メガネ屋ってあまり混んでいる印象がない)
 担当してくれたお姉さんはタブレットをせっせと操作し、ときどきはこちらに見せてテキパキと計測と説明を続けていく。
 それで知ったのだけど、最近はメガネのレンズにも様々な加工ができるようになっていて、どれをつけるかを選ぶ(あるいはどれもつけないことを選ぶ)ようになっていた。
 スマホなど近くを見る際の負担を軽減するレンズとか、傷がつきにくいレンズとか、ブルーライトカットなど、覚えきれてないけど10種類くらいはあった気がする。
 負担軽減だけにしてもらったのだけど、メガネみたいなシンプルな商品でもいつの間にか複雑化していたようだ。
 メガネ屋としても、そういった様々なオプションをつけることで売上を伸ばそうという意図があるのだろうね。
 そんなこんなで一週間でメガネができあがり、受け取ってかけている。

 以前作ったメガネは少し度数がゆるめてあって、0.8くらいになるように調整されていた。
 これはメガネ屋で、室内でPCモニターなどを見るのに使うのであればそのくらいの方が楽でいいですよ、と言われたからだった。
 そのぶん、外で使う時にはちょっとぼやける感じもあり、その点がやや難点であると言えば言えた。
 外を歩いている時に周囲がほんのりぼやけていると、ちょっと頼りない気持ちになるというか、気持ちもぼんやりしてくる。
 どんなふうにものが見えているのかというところに、人の心理はけっこう影響を受けるものなのかもしれない。

 新しいメガネは1.0にばっちり合わせているので、外の景色がくっきりはっきり見えるようになった。
 そうなると気持ちもしゃっきりしてきて、心なしか足取りもしっかりしてくる。
 そのようなよい効果もあった一方で、家に帰ると問題が起きた。
 PCのモニターを見ると、ぼやけてしまってよく見えないのだ。
 いままで0.8くらいの視力でゆるく見つめていたのに、急に1.0に変わったので焦点が合わないようだった。
 これだと困るなあ、合わない場合は無料で調整できるみたいだからもう一度行かないとダメかな、と思ったのだけど、とりあえず少し様子を見てみることにした。
 あわてて行動する前に、ちょっと待ってみれば改善することもけっこう多いからだ。(もちろん逆に、さらに悪化することもしばしばある)
 しばし我慢して新しいメガネを使っていたところ、翌日にはモニターを見る際のぼやけぐあいがだいぶましになっていた。
 ふむ、と思ってさらに1日経過させてみると、今度はほぼ問題なくくっきり見えるようにすらなった。

 調べてみると、新しいメガネを1〜2日くらいかけていると、新しい視力の状態に脳が適応してはっきり見えるようになるらしい。
 つまり人の視力というのは絶対のものではなく、状況に応じてあるていどは変化できる柔軟性を持っているということのようだ。
 それなら悪化した視力も回復してほしいものだけど、0.1まで落ちてしまうとどうにもならないのかもしれない。
 0.8と1.0くらいならなんとかなるけど、0.1と1.0くらいまでにかけ離れてしまうと、もうそんなの無理に決まってますやろ、と脳に拒否されてしまうのだろう。

 こういうちょっとした調整力は、視力に限らず人が生きる上で重要な役割を果たしているのかもしれない。
 この人とはちょっと合わないところもあるけどいいところもあるし…みたいな感じで人間関係を丸めることがしばしばあるけど、こういったところでもおそらく脳がほどほどに受け入れようと調整しているのだろう。
 どうがんばってもこの人は無理! ということもあるけど、それは視力が悪くなりすぎて自然の補正力だけではどうにもならない、というのに近いところがある。
 視力はメガネをかければ解決するけど、人間関係はそう簡単にはいかないのが難しいところですね。

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